SPSSからの乗り換えに―memiscGUIパッケージ

Osaka.R #3で発表したmemiscGUIパッケージの紹介です。

memiscパッケージの詳細についてはこちらのスライド(PDF)を参照していただきたいのですが,SPSSの変数名ラベル,値ラベル,ユーザー欠損値などの機能がRでも使えるようになるパッケージです。

memiscGUIパッケージは,なんのひねりもない名前ですが,memiscパッケージの機能をGUIで扱えるようにするためのパッケージです。ようは,memiscパッケージの力を借りて,エセSPSSをR上で作ることを目指したものです。

以前DFBrowserという似たようなパッケージを作っていましたが,そのころはmemiscパッケージの機能を把握していなかったため(存在は知っていた),値ラベルやユーザー欠損値といった機能はありませんでした。後日無理矢理組み込もうとしたんですが,DFBrowserの作成当初はバックエンドとして用いているRGtk2の扱いが全くわかっていなかったため,場当たり的なコードが多くて改造が困難で,挫折していました。

memiscGUIは,DFBrowserの経験をもとに一から作っています。部分的に流用できるコードはかなりあったので,基本的な実装は意外と早く(3〜4日ぐらい)できました。分析機能やエディタ機能は省き,データ管理機能の作り込みに注力しています。SPSSとRを使い分けている方は,データ管理はSPSS,分析はRというパターンが多いみたいなので,まずデータ管理機能がSPSSと同等になれば,そういう方はSPSSを捨てられるだろうという魂胆です。データ管理機能が満足行くものになれば,分析機能も作るかもしれません(別パッケージにするかもしれませんが)。

インストール

前置きが長くなりましたが,まずインストール方法から。必須パッケージはRGtk2とmemiscです。どちらもCRANからインストールできます。ただし,RGtk2用にGtk2をインストールする必要があります。Windowsの場合は,RGtk2パッケージをインストールした後,library(RGtk2)でRGtk2パッケージを読み込むと,Gtk2をインストールするかどうか尋ねられるので,指示に従ってインストールしてください。インストール後,Windowsを再起動すると,RGtk2パッケージが使えるようになっています。Macの場合も同様だった気がします(確認は取れていません,どなたか確認が取れたら教えてください)。LinuxではたいていGtkは入っていると思いますが,libgladeをインストールする必要があるかもしれません。あとはmemiscGUIパッケージをインストールするだけです。

最新版
前バージョン

Windowsの場合は,Windows用バイナリをダウンロードして,メニューバーから「パッケージ>ローカルにあるZIPファイルからのパッケージのインストール」を選んでインストールしてください。いずれCRANに載せたいと思っていますが,英語でヘルプを書くのがめんどうなので…。ちなみに国際化に対応しています。これもこのパッケージの目玉機能です。

起動は,library(memiscGUI)で読み込んだ後,memiscGUI()を実行するだけです。使い方は次の記事で。

追記

Macでは動作確認ができていません。pure Rなのでたぶん動くのですが,Gtkの動作がプラットフォームによってやや違うこともあるので保証はできません。

Linuxは,Ubuntu 10.04で動作を確認しました。ただし,データの読み込みに難があります。SPSSのデータを読み込んだ場合,文字コードを変換してくれないようです。これはMacでも共通の問題かもしれません。現在のところ,実質的に,英語のみのデータしか読み込むことができません。大局的環境からのインポートは問題なく動作すると思います。Stataのデータについては未確認です。