#freee を使うべきでないたった1つの理由

2014/12/09 追記:結局ずっとfreeeを使い続けていますが、サポートに関しては改善されていると思います。記事は残しておきますが、このようなことはもう起こらないだろう、という信頼感を感じています。対してマネーフォワードですが、「対応の見込みが分かり次第連絡する」との返信があってから、結局なんの連絡もなく、無料試用期間を過ぎたので退会しました。MFも今はどうなのか分かりませんが、私の中での評価は逆転しています。

1.サポートが最低

これに尽きます。

freeeがどういうサービスなのかは検索すればいくらでも記事が出てきます。1つだけリンクをはっておきます。

簿記を知らなくても使える会計ソフト「freee」、グーグル卒業生が開発 -INTERNET Watch


前提条件として、私はfreeeの法人プランを10月から利用していて、すでに1年分の料金を一括で支払い済みです。ごねても返金はしてもらえないでしょうから、ここで憂さ晴らしをしよう、という動機の記事です。

何が起きたか(もしくは起きなかったか)

使い始めてしばらくは、特に大きな問題はなく利用していました。
きっかけは、正常に動いていた口座同期がおかしくなったことです。

まず、下の画像は、銀行側の明細画面です。ボカシだらけで見にくくて申し訳ないですが、ここで確認していただきたいのは、同期して欲しい情報はなにか、ということです。

f:id:phosphor_m:20140224113235j:plain

日時、金額は当然として、必要なのは、取引の具体的な内容を表す「摘要」です。図に書き込んでますが、「取引区分」は不要です。入金か出金かは金額の列が別なので見ればわかります(そもそも「取引区分」の列は何のためにあるんでしょう…)。

さて、この情報をfreeeに取り込むと、次の画像のようになりました。

f:id:phosphor_m:20140224113242j:plain

またもやボカシだらけですが、「取引内容」に「出金」と入っています。これは銀行側での「取引区分」の情報です。freee側でも入金金額と出金金額の列は別なので、やはり「取引区分」は不要です。

本来ならば「取引内容」には「摘要」の情報が入るべきですし、実際、ある時期まではちゃんとそうなっていたのです。*1

さて、これは明らかにバグだろうと思い、サポートに報告したのが12月末です。そのときは、「調査します」という丁寧な返事がきました。しかしそれ以降はまったく音沙汰がありません。

もしかしたら、年末に問い合わせたせいで放置されているのかな、と思い、1月末にもういちど修正はどうなっているのか問い合わせました。こんども「調査します」という丁寧な返事がきたのですが、やっぱりそれ以降はまったく音沙汰がありません。

なぜ冒頭で画像まで出してしつこくバグの詳細を書いたかというと、このバグがどう考えても修正に二ヶ月かかるものだとは私には思えないので、その点についての同意を得たかったからです。列を間違えているだけですから、早ければ数分で直せるのではないでしょうか?*2もちろん修正→デプロイまでにいろいろ手順があるでしょうが、諸々を含めても二ヶ月はかからないでしょう。つまり、私は、このバグ(およびバグ報告)は放置されているのだと考えています。

【2014/02/25 17:00 追記】
ブログを書く前に再度サポートにメールを送っていたのですが、昨晩返信が来ていました。謝罪とともに、以下のようなことが書かれていました。

  • バグ修正が技術的に容易なものではなく、対応に時間を要した
  • 先週末にいったん修正が完了したが、正常に反映されていない
  • 改めて原因を調査して、明日(2/25)中に連絡する

「技術的に容易でなかった」というのはにわかには信じがたいですが、まあそう言うならそうなんだろう、と思うことにしておきます。
【追記終わり】

いま考えるとこっちのほうがより深刻

別件もあります。バグどころか、2月初旬の一週間以上もの期間「口座のログインエラー」で同期そのものができませんでした。「IDかパスワードを間違えているので口座にログインできない」という自動通知メールが毎日きましたが、メールが来なくなったと思ったら、いつのまにかエラーが解消されていました。もちろん、エラーの前後で、IDもパスワードもいじっていません。このエラーについて、freeeが把握していないわけはないと思いますが、前述の自動通知メール以外には何の説明も釈明もありませんでした。このころにはもう愛想を尽かしていたので問い合わせもしていません。

うちは多くても月数回しかお金の移動がないので、こんな不安定な状態でもブログで文句を言う程度で済みます。しかし、例えば毎日数十、数百件の取引があるようなECショップの場合はどうでしょう?一週間も会計処理が滞ってしまえば、機会費用を含め多大な損失になるでしょう。はっきりいって、サービスの不安定さとサポートの質の低さを鑑みると現状のfreeeは事業で使えるレベルではありません。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

あと、twitterアカウント(@freee_jp)にリプを送っても、都合の悪いことは全て無視されるようです。私は無視されました。検索すればわかりますが、無視されているのは私だけではないようです。

まとめ

ここまで悪し様に書いてきたものの、私はバグがあったり不安定であること自体は大きな問題だとは思っていません。ベンチャーのサービスが最初から安定していたためしはありませんので、その程度は当然のリスクとして織り込み済みにすべきだと思います。例えデータが全部消し飛んだとしても、それだけなら私はfreeeを使うのを止めなかったと思います。しかし、例えばデータが消し飛んだとき、「まあ二度目はないだろう」と思わせるか「またやりそう」と思わせるかは誠意次第です。今回の件で言えば、何らかの事情でバグの修正が後回しにされているとしても、その事情を納得いく形で説明してくれれば十分誠意は感じられたのです。しかし、私はいま「また別のバグを報告しても放置されるだろう」と思っていますし、「障害が発生しても一切説明はないだろう」と思っています。つまり、私はfreeeのサポートに誠意が感じられないため、freeeという会社そのものも信頼できないと判断した、ということです。会計情報というクリティカルなものを、そのような会社に預けておくことはできません。やはり、freeeを使うべきでない理由はたった1つであり、

1.サポートが最低

ということに尽きるのです。

一方で、ウェブにはfreeeを礼賛する記事が溢れかえっていて、批判はほとんど見あたりません。なぜでしょう?不幸な行き違いでユーザーの中で私だけが冷遇を受けているという可能性もありますが、もう1つの可能性として、個人ユーザーが少ないため、ということが考えられます。礼賛する記事にしても、ほとんどはPR記事の類いで個人ブログ等の記事はあまりありません。freeeに注目している方は多いと思いますが、実際にその中身を知っている方はほんの一握りなのではないでしょうか?起業してから知りましたが、法人向けのサービスはどれだけ注目を集めたものでも、良し悪しにかかわらずレビュー記事はほとんどありません。

私の報告したバグが放置されているこの二ヶ月間、freeeは矢継ぎ早に新サービスをリリースしています。私はこの状況を、freeeがユーザーのためではなく投資家のためにサービス開発していることの表れだと思っています。実際に利用されている方なら分かると思いますが、freeeはいま不完全な部分が随所にあるにもかかわらず、それを放置したまま新サービスを開発していっている状況です。そもそもヘルプが整っていないので使い方がわからない機能がたくさんあります。*3とてもユーザー目線で開発が進んでいるとは思えません。

ウェブの記事ではそうやってユーザーに見放されていったベンチャーの話をよく見ますが、freeeはどうなんでしょうね。

おまけ(マネーフォワードはどうでしょう?)

さて、そういう状況なのでマネーフォワードへの引っ越しを進めています。基本的な機能はfreeeに比べて遜色はないですし、ヘルプはずっと整っています。ただし、マネーフォワードの弱いところは、法人口座への対応が壊滅的だというところです。もとが個人用の家計簿サービスだからでしょう。この件に関して、ANSER-API形式ファイル*4の取り込みに対応していただけないか問い合わせましたが、「まずは検討を開始し、対応の見込みが分かり次第連絡する」との返事をいただきました。最低限、対応の可否を連絡するのは常識ですよね、というところで少し安心しました。いまのところ、サポートに関してはfreeeよりは好感触です。

*1:ちなみに明細をファイルでダウンロードしてからそれをfreeeにアップロードすると、いまでもちゃんと「摘要」の情報が入ります。

*2:直接スクレイピングしているのかどうかは知りませんが、スクレイピングしていないならば、なんらかのAPIや明細のダウンロードファイルを利用しているはずで、むしろ修正はより簡単なはずです。まあ設計をミスっていればその限りではありませんが。

*3:個人的な経験則ですが、サービスにしろライブラリにしろ、ドキュメントが整っているかどうかはユーザーのことを考えているかどうかをかなり反映していると思っています。

*4:多くの地銀が対応している明細のファイル形式です。